マックス・ローチは、ジャズの歴史において最も革新的で影響力のあるドラマーの一人として知られる。彼はビバップの創始者の一人として、ドラムの役割を単なるリズムキープから、メロディーやハーモニーに対等な音楽的表現へと高めた。彼はまた、様々なジャズのスタイルやジャンルに挑戦し、多くの名ミュージシャンと共演した。彼の豊富な録音の中から、特におすすめの5枚を紹介する。
1. Clifford Brown and Max Roach (1954)
マックス・ローチとクリフォード・ブラウンの共同リーダーによるクインテットの最初のアルバム。ブラウンの華麗で情熱的なトランペットとローチの緻密でダイナミックなドラムが見事に絡み合う。サックスはハロルド・ランド、ピアノはリッチー・パウエル、ベースはジョージ・モロウという優秀なメンバーが参加している。ビバップの名曲やオリジナル曲を中心に、高度な技巧と感性が光るアルバムだ。
代表曲: Joy Spring, Daahoud, Parisian Thoroughfare
2. Max Roach + 4 (1956)
マックス・ローチのリーダーによるクインテットのアルバム。ブラウンの死後、トランペットにケニー・ドーハムを迎えた新生クインテットの初録音である。ドーハムの渋くクールなトランペットとローチの力強くスウィンギーなドラムが印象的だ。サックスはソニー・ロリンズ、ピアノはレイ・ブライアント、ベースはジョージ・モロウが担当している。ビバップの名曲やオリジナル曲を中心に、バランスの取れたアルバムだ。
代表曲: It Don’t Mean a Thing, Love Letters, Minor Trouble
3. Jazz in 3/4 Time (1957)
マックス・ローチのリーダーによるクインテットのアルバム。このアルバムでは、3/4拍子の曲を中心に取り上げている。3/4拍子は、ジャズではあまり一般的ではないが、ローチはその拍子においても、素晴らしいリズム感とアイデアを発揮している。ドーハムとロリンズのソロも見事だ。ピアノはレイ・ブライアント、ベースはオスカー・ペティフォードが担当している。ジャズの可能性を広げたアルバムだ。
代表曲: Blues Waltz, Valse Hot, Lover
4. We Insist! Max Roach’s Freedom Now Suite (1960)
マックス・ローチのリーダーによるセプテットのアルバム。このアルバムは、黒人の人権運動に対するローチの強いメッセージを込めた作品である。ローチのドラムは、アフリカのリズムやスピーチやシャウトなどを取り入れて、激しく訴えかける。ボーカルはアビー・リンカーンが担当し、彼女の熱唱も感動的だ。サックスはコールマン・ホーキンスとウォルター・ベントン、トランペットはブッカー・リトル、トロンボーンはジュリアン・プリースター、ベースはジェームス・メリットが参加している。ジャズの社会性と芸術性を高めたアルバムだ。
代表曲: Driva Man, Freedom Day, Triptych
5. Drums Unlimited (1966)
マックス・ローチのリーダーによるトリオのアルバム。このアルバムでは、ローチのドラムの多彩な表現力が堪能できる。特に、ドラムソロのみで構成された3曲は、ローチの傑作として名高い。サックスはジェームス・スペルディング、ベースはジョディ・クリスチャンが担当している。ドラムの可能性を広げたアルバムだ。