『Ella Fitzgerald Sings the Cole Porter Song Book』は、Ella Fitzgeraldによる1956年の作品です。ここでは作品の背景、参加メンバー、演奏を味わうための3つの聴きどころを整理します。
『Ella Fitzgerald Sings the Cole Porter Song Book』とは
Verve最初期の大企画としてBuddy Bregmanのorchestraと録音した32曲は、Ella FitzgeraldがCole Porterの複雑な韻、長い旋律、転調を明瞭な発音で統一した作品である。「I Get a Kick Out of You」の軽いswing、「Night and Day」の反復主題、「Ev'ry Time We Say Goodbye」の抑制を比べると、歌詞の意味に応じてbeatへの置き方とvibratoを変えながら、編曲の大きな音量にも言葉を埋もれさせない技術が分かる。
アルバム基本情報
| アルバム | Ella Fitzgerald Sings the Cole Porter Song Book |
|---|---|
| アーティスト | Ella Fitzgerald |
| 発表年 | 1956 |
| レーベル | Verve |
参加メンバー
- Ella Fitzgerald — vocals
- Buddy Bregman — arranger, conductor
- Studio orchestra — ensemble
3つの聴きどころ
Porterの韻と発音
「You're the Top」では短い語句が連続するため、Fitzgeraldは母音を伸ばすより子音の位置でrhythmを作る。orchestraのaccentと歌詞の強勢が一致する箇所、あえて歌だけが弱く通過する箇所を聴き分ける。英語詞を目で追い、韻を踏む語尾が同じ長さではなく、意味に応じて微妙に変えられていることを確認したい。
「Night and Day」の反復
反復される「night and day」に毎回同じ音量とvibratoを当てず、verseからchorusへ進むにつれて息の量とphraseの方向を変える。低弦や管が刻むpatternの上で、歌が拍へ密着する時と少し広く乗る時を比べると、同じ旋律を繰り返しても単調にならない。編曲の背景音型と歌の反復を別々に聴く。
balladでのorchestraとの距離
「Ev'ry Time We Say Goodbye」では弦の長い和音が増えるため、Fitzgeraldは語尾のvibratoを遅く始め、言葉の輪郭を先に提示する。Buddy Bregmanの編曲が歌の直後に管の短いfigureを置く場所を探し、歌がそのfigureへ食い込まず余白を渡す様子を聴く。大編成でも声と背景を同時に厚くしないbalanceが重要である。
最初に聴きたい曲
- I Get a Kick Out of You
- Night and Day
- Ev'ry Time We Say Goodbye
ジャズピアノ学習者が持ち帰れること
「Night and Day」の同じ旋律句を4回弾き、1回目はlegato、2回目は子音を想定した短いattack、3回目はphrase終端だけvibratoの代わりに上隣接音を添え、4回目は音数を変えず強弱だけで山を作る。左手はorchestraの持続音を想定して半音voice leadingを保つ。四回が別の語り口に聞こえるか録音で比較する。
参考資料
Jazzifyのデモを、今すぐプレイ
MIDIキーボードを接続してプレイできます。
iPhone、iPadの場合はブラウザではMIDIキーボードが使用できません。アプリ版をご使用ください。
