キースジャレットの名盤- ピアノと奇声とKeith Jarrett その2
キースジャレットの名盤を紹介します。時は71年。マイルスバンドに従属してヨーロッパツアーを行っていたキースはひとりの男と出会います。その男の名はマンフレート・アイヒャー。ご存知、ECMの生みの親です。
時間にしてわずか3時間のミーティングの中でアイヒャーはいくつかの提案を示しました。
世間ではバレンタイン商戦の火蓋が切られ、そこかしこで漂うチョコレートの香りに精神が蝕まれていくような感覚をおぼえる今日この頃。みなさま如何お過ごしでしょうか。
なんでも今年は「お酒」を使ったチョコレートがトレンドとのことで・・・。
えぇえぇ。洋酒を使ったものは別段珍しくないですが、今回は日本酒や焼酎を使ったものが台頭してきているようです。
前回、酔いどれ読書道を説いたことでアル中疑惑が浮上している私からしてみれば「チョコをつまみに酒飲めばいいじゃん」という見解なんですが、こんなド底辺意識を口外しているからチョコ貰えないんでしょうね。
またこの時期になるとパティスリー業界の他にもカバンや靴、時計といったファッション業界も手を替え品を替え様々な商品を発表していますが、私が見つけた中では「錦松梅(ふりかけ)」のバレンタイン限定品が印象深かったです。ハート型の有田焼に入っているのがまた味わい深い。
錦松梅なんてお正月にしか食べられないもんだと思ってましたから、バレンタインでも食べられるなんて幸せ!
そんなワケで、うら若き女子のみなさま。本命のカレに錦松梅なんてどうです?
えぇえぇ。そういえばチョコには抗鬱効果があるそうですが、食べ過ぎると今度は精神ではなく歯が蝕まれますから(虫歯だけに)ご注意を。
キースジャレット オススメアルバム紹介-ピアノと奇声とKeith Jarrett その3
さて、引き続きキースについて紹介していきましょう。
今回は70年代編その2ということで、即興ソロピアノやヨーロッパカルテットについて記していきます。
ヨーロピアンカルテット
ECMとの契約後、キースは自身のソロの他ヤン・ガルバレク、パレ・ダニエルソン、ヨン・クリステンセンからなる通称「ヨーロピアンカルテット」を結成します。
キース・ジャレットおすすめアルバム – Belonging(’74)
貴重なライブ映像。前回紹介したアメリカンカルテットとは一転、透明感や叙情性が表出しています。一部ではアメリカンカルテットで見られたようなアーシーなジャズロックもありますが、良い意味で抑制されていて独特な緊張感があります。
また、アメリカンカルテットではギターやパーカッションを起用する他、キースがフルートを吹いたりレッドマンが小物打楽器を叩いたりと音楽のトータルデザインを目指す傾向にありましたが、こちらでは徹頭徹尾自身の楽器と向き合った内省的なスタンスを保っています。
アメリカンカルテットを「ロマンティシズム」とするならば、このヨーロピアンカルテットはさしずめ「リリシズム」と言ったところでしょうか。
キース・ジャレットおすすめアルバム – My Song(‘78)
このマイルド感!末葉を撫でる柔らかい春風のようです。
あっ。詩的過ぎますかね。もっと庶民的に言うならば「牛乳で作ったシーフードヌードル」ですかね。
私はアレを麺が伸びきるまで放ったらかしてから食べるのが好きなのですが…この話は日清特集でもした時にしましょ。
えぇ。キースの数ある名盤の中でもこの作品を筆頭に挙げる方は多いのではないでしょうか。
この表題曲や「Country」のようにうなり声をあげて時折暴走する人が作ったとは思えないキャッチーさに耳が行きがちですが、「Tabarka」や「Mandala」のようにフリージャズの要素も孕んでいます。バラエティ豊かと捉えるか、統一性が無いと捉えるかは人それぞれです。
音楽というものは芸術性と大衆性の2つの皿を持つ天秤のようなものでして、どちらかに比重をかけることは簡単なのですが、均衡を保つことは非常に難儀なのです。
ほら、ムズかしすぎると最後まで聴けなかったり、カンタンすぎると早々に飽きちゃうでしょ。
「My Song」はこの均衡を「楽曲構成」の妙で取っているのです。
チョコにお酒を入れる発想ですかね。甘さの中にあえて違和を混ぜることによってその味わいを深めることが出来るという。
発表から幾星霜経った今でもジャズファンの手に取られ続ける理由はこういった点にあるのでしょうねぇ。
ケルン・神様の詩
キース・ジャレットおすすめアルバム – The Koln Concert(‘75)
24時間近く休養を取れず、現場に行ってみれば楽器のコンディションは最悪。しかもその日は孤立無援のソロコンサート。
みなさんはこんな状況に直面したらどうしますか?
マネージャー並びに関係者各位に陳謝して公演を延期する?「なにくそ。背水の陣だ!」と腹をくくって臨む?
私ならMCでお茶を濁しますかね。どうせダダ滑りしますけれども。
えぇえぇ。この名盤「Koln Concert」はそんな最悪の状況で記録された奇跡の一枚なのです。
連日のコンサートとそれに伴う長距離移動による疲労からキースは目を開けているのがやっとだったそうです。極限状態の体を引きずりピアノに向かうキース。
そこにアポロンでしょうか、ミューズでしょうか。はたまた弁財天?えぇ。何はともあれ、神様が降りたのです。キースがイタコと化した瞬間でした。
主題を模索し、地が固まったらまた次の主題へと漂流していく。
キースの即興ソロピアノはこのような構成で進行していくのですが、今作はこの進行が実に淀みなく流れていくんですよね。もはや完成された映画音楽のようです。
主題を模索している瞬間、ピアノでもって何かに迫ろうとする姿勢はさしずめリルケの詩のようでもあります。
私が特別好きなのはPart II AのラストからII Bにかけてですかね。ふと顔を表すドビュッシー感にどきっとします。
最後のPart II Cは「Memories of Tomorrow」というタイトルで譜面化されてます。が、演奏する勇気は出ません。
キースの曲ってテーマとソロの境界がいい意味で曖昧なんですよね。もちろん、テーマが難解という意味ではなくて、ソロがテーマの延長線上にあるというか…。
そのイメージが頭にあるもんですから、テーマを演奏している分には気持ちいいのに、ソロに入った途端に自分の音楽力の無さに辟易してしまうんですよね。
なので、もし共演者がSo Tenderとか持ってきたら露骨に嫌な顔します!よろしく!
さて、今回は「My Song」「The Koln Concert」と70年代キースの金字塔を紹介してきました。次回こそはスタンダードトリオについて追って行きたいと思います。
オリジナル、完全即興を経て何故キースはスタンダードに目を向けたのか?
長期療養の先にキースが導き出した答えとは?
はたして私はチョコレートを貰うことが出来るのか!?
乞うご期待です。
ジャズピアノ名盤 キース・ジャレット- ピアノと奇声とKeith Jarrett その4 –
ジャズピアノ名盤 今回もキースについて記していきたいと思います。
前回までに紹介してきた70年代のキースは自作曲や完全なる即興に重きを置き、独創性を極めていきました。
そんなキースが次のステージとして選んだのは「スタンダード」
当時のジャズファンたちも「なぜ今更?」と訝しんだことでしょう。
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この記事を書いたのは・・
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多田大幹
1991年生まれ茨城県出身。
11歳の頃よりギターを、高校時代よりジャズを学び始める。
2010年、洗足学園音楽大学に入学。ギターを道下和彦氏、有田純弘氏に師事。作曲を香取良彦氏に師事。
2013年度特別選抜演奏者に認定、2014年優秀賞を得て同校を卒業。
同年亀吉レコードより1st EP「the Portrait of Lydian Gray(クリックでitunesページに)」を発表。
ECMを中心としたコンテンポラリージャズを中心にアルゼンチン音楽やシカゴ音響派など豊かなバックグラウンドから得た作編曲能力には定評がある。
でした。
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