・ジャズピアノ練習法(ソロピアノ・アドリブ・コード編)
・ビバップ常套句1377

ジャズピアノレッスン

エラ・フィッツジェラルドの名盤5選 | ジャズピアノのはじめかた

ジャズの歌姫として名高いエラ・フィッツジェラルドは、その抜群のテクニック、リズム感、表現力で数々の名曲を歌い上げました。彼女はビバップのスタイルを取り入れたスキャットや、様々な作曲家の曲を取り上げたソングブックシリーズなどで、ジャズの可能性を広げました。彼女の豊富なレパートリーの中から、特におすすめの名盤を5枚選んで紹介したいと思います。

1. Ella and Louis

ジャズの巨匠との共演

エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングは、ジャズの歴史において最も重要なミュージシャンのふたりです。彼らは1956年にこのアルバムで初めてデュエットをしました。エラのクリアで力強いヴォーカルと、サッチモのハスキーで温かいヴォーカルとトランペットが見事に調和します。オスカー・ピーターソンのピアノをはじめとする素晴らしいバックも彼らを引き立てます。スタンダード曲を中心に、ロマンティックでユーモラスな雰囲気が漂う名作です。特に「Cheek to Cheek」や「They Can’t Take That Away from Me」は、エラとサッチモの掛け合いが楽しいです。

2. Ella Fitzgerald Sings the George and Ira Gershwin Songbook

ガーシュウィン兄弟の名曲を歌い尽くす

エラ・フィッツジェラルドは、1950年代から1960年代にかけて、コール・ポーターやデューク・エリントンなどの有名な作曲家の曲を集めたソングブックシリーズを制作しました。その中でも、ガーシュウィン兄弟の曲を歌ったこのアルバムは、最も壮大で完成度の高いものです。エラは59曲に及ぶガーシュウィンの名曲を、ネルソン・リドルの華麗な編曲とオーケストラの伴奏で歌います。エラの歌声は、ガーシュウィンのメロディーとハーモニーを忠実に再現しながらも、独自の解釈と感情を加えます。特に「Someone to Watch Over Me」や「Summertime」は、エラの感性が光る名演です。

3. Ella in Berlin: Mack the Knife

ライブでのエラの魅力

エラ・フィッツジェラルドは、スタジオ録音だけでなく、ライブでのパフォーマンスも素晴らしいです。このアルバムは、1960年に西ベルリンで行われたコンサートの模様を収録したものです。エラは、ジム・ホールのギターやポール・スミスのピアノなどの小編成のバンドをバックに、自由奔放に歌います。特に「Mack the Knife」は、エラが歌詞を忘れてしまい、アドリブやモノマネでごまかすというハプニングが起こりましたが、それがかえって名場面となりました。エラの即興力とユーモアが溢れるライブアルバムです。

4. Ella Abraça Jobim

ボサノヴァに挑戦

エラ・フィッツジェラルドは、ジャズだけでなく、他のジャンルの音楽にも挑戦しました。このアルバムは、ブラジルのボサノヴァの巨匠アントニオ・カルロス・ジョビンの曲を歌ったものです。エラは、ジョビンの曲を英語で歌いますが、その雰囲気やリズムは忠実に再現します。クインシー・ジョーンズの編曲とオーケストラの伴奏も、エラの歌声を美しく彩ります。特に「The Girl from Ipanema」や「One Note Samba」は、エラのボサノヴァの魅力が伝わる名曲です。

5. Ella and Basie!

スイングの名手との共演

エラ・フィッツジェラルドとカウント・ベイシーは、ジャズのスイングの名手として知られています。彼らは1963年にこのアルバムでコラボレーションしました。エラは、カウント・ベイシーのオーケストラのノリのいいグルーヴに乗って、力強くスイングする歌声を披露します。クインシー・ジョーンズの編曲も、エラとベイシーの相性を高めます。特に「Honeysuckle Rose」や「Them There Eyes」は、エラとベイシーの掛け合いが楽しいです。

まとめ

エラ・フィッツジェラルドは、ジャズの歌姫として、多くの名盤を残しました。その中から、今回は5枚を選んで紹介しました。エラの音楽は、ジャズの巨匠との共演、ガーシュウィン兄弟の名曲、ライブでの魅力、ボサノヴァへの挑戦、スイングの名手とのコラボなど、様々な魅力を持っています。エラの音楽を聴くことは、ジャズの本質を知ることにもつながります。ぜひ、このエッセイを参考にして、エラの音楽に触れてみてください。